「まだ1日に何回も空襲警報が鳴る」

 6月4日にはウクライナ避難民による在ワルシャワ・ウクライナ支援団体「フューチャー・フォー・ウクライナ(FFU)」を訪問した。出発前のZOOMミーティングに続き今回、2回目の面談だ。ロシア軍と戦うため18~60歳の男性は国外に出ることはできない。面談したオレナ・ソーティニク副会長(39)をはじめ5人はいずれも見目麗しき女性である。

フューチャー・フォー・ウクライナのオレナ・ソーティニク副会長(中央左)にJINRIKI QUICKを寄付する中村氏(花岡凌氏撮影)

  オレナさんは前ウクライナ最高議会議員で人権弁護士。現在はウクライナ副首相顧問を務めている。5人とも切れ味鋭い優秀なプロフェッショナルで、文字通り祖国を救う“ウクライナ・エンジェル”たちだ。FFUの事務所にJINRIKI QUICKを運び込むと、5人は早速、真剣な眼差しで装着の仕方や部品を細かくチェックした。

 ウクライナではロシア軍の攻撃で車イスを必要とする人が増えている。しかし車イスは高額なため、中古の車イスでもすぐにほしいという。オレナさんは「国外に避難できた人の安全は保証されている。ウクライナではロシアの爆撃が続く地域があり、1日に何回も空襲警報が鳴る。高齢者や障害者避難のためJINRIKI QUICK数千ユニットが必要になる」と予測した。

 中村氏は「今回は現地調査のため100セットしか持って来なかったが、8月か9月には500セットを持って再訪する予定だ。避難したくてもできない人たちを助けたい。これから復興までの道のりは長い。JINRIKI QUICKは緊急時の避難から介護、生活支援まで幅広く役立つことができる。関税免除や輸送面で政府の協力が必要だ」と訴える。

 ウクライナ戦争は東部戦線に縮小したものの、エネルギーや食糧の安全保障、権威主義国家の中露の影響力といったホットウォーではない面ですでに第三次大戦が始まっていると言っても過言ではあるまい。ウラジーミル・プーチン露大統領やその側近は人を殺し、物を破壊することでしか存在価値を見出すことができない人たちだ。

 ポーランドやウクライナの人たちの活動を目の当たりにして、筆者は人の命を守り、育て、社会を建設することで世界に貢献する勢力に与したいとの思いを強くした。ウクライナ支援はスピードアップとスケールアップが求められている。岸田文雄首相には強い指導力を発揮してほしい。