岸田文雄首相(写真:つのだよしお/アフロ)

(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 岸田内閣の支持率が異常事態になっています。

 5月27~29日に日本経済新聞社とテレビ東京が実施した世論調査で、岸田内閣を支持すると回答した人が全体の66%にも達したというのです。4月に実施した同じ調査では支持率が64%で、昨年10月発足以来の最高値を記録していたのですが、それをさらに上回ったのです。政党支持率では「自民党」がトップで51%でした。

 内閣支持率というのは一般的には内閣発足直後に高い数字が出て、その後は徐々に下降する傾向にあります。もちろん、途中で大きな功績があれば上昇しますし、失敗があれば下落しますが、概して徐々に下がるものです。ところが岸田政権は発足当初は期待値が高くなかったせいか、お世辞にも「高支持率」でスタートしたわけではありませんでした。ところが支持率はその後、じわじわと伸びてきて、約8カ月後に最高値を更新するというイレギュラーな動きを見せているのです。いったい何が起きているのでしょうか。

「岸田フィーバー」が起きているわけでもないのに

 国内政治における支持率に関して、政界関係者が広く信じているある法則があります。竹下登元首相の秘書を長く務めた後、参院議員となった「参院のドン」青木幹夫氏が唱えた「青木の法則」です。これは「内閣の支持率と政権与党の支持率の和が50を切るとその政権は危ない」というものです。前述の日経新聞・テレビ東京の世論調査に基づけば、内閣支持率:66(%)+自民党支持率:51(%)=117となります。

 青木の法則にしたがえば、岸田内閣は「超安泰政権」なのです。

 しかし、「体感」として、世の中がそれほど岸田フィーバーに沸いているようには思えません。岸田文雄首相が、最近になって何か大きな業績を上げたということもありません。失礼ながら、冒頭で「異常事態」と書いたのはそのためです。

 では、この高支持率の原因とは何なのでしょうか。