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(英エコノミスト誌 2022年4月9日号)
ロシアの残忍な傭兵は恐らく、ウクライナではあまり問題にならないだろう。だが、ほかの国々で強権的な指導者を支え続けている。
軍服姿でポーズを取った4人の男たちの写真がある。
写真の上半分を見る限り、その場の雰囲気は明るいようだ。1人は笑みを浮かべている。もう1人はたばこを吹かしながらカメラのレンズをじっと見つめている。
だが、写真の下半分に目をやると、コンクリートの床に生首が転がっているのが分かる。
男たちは首をはねる前、笑いながら犠牲者の手足を大きなハンマーで打ち砕く様子を動画に収めていた。
これは2017年にシリアで起きた出来事だ。
犠牲者はシリア軍の逃亡兵だと報じられている。手を下した4人は恐らくロシア人だ。
少なくともその1人は、ロシアの軍事諜報部門とつながりがあり、今回もウクライナで活動していると伝えられる傭兵組織「ワグネル・グループ」の戦闘員であることが判明している。
ロシア軍の関与を否定する隠れ蓑
ワグネルはロシアで最も有名な傭兵組織で、ウラジーミル・プーチン大統領までつながるパイプを持つ。
ウクライナで最初に存在感を示したのは2014年、東部のドンバス地方をロシアがもぎ取ろうとした時のことだ。
ワグネルは当時、プーチン氏が傭兵の価値として評価するサービスの一つを提供した。公式には事実を知らされていないことから関与を否定できる「否認能力」がそれだ。
ロシア軍の兵士よりも傭兵の方が、分離主義者の戦士だと名乗って通用する可能性が高かった。
それ以降、ワグネルはシリア、リビア、マリ、中央アフリカ共和国など多くの国々に展開しており、スーダンやベネズエラにも出没している。
その任務は必ず、プーチン氏が気に入った強権的な人物を支えたり指導者に据えたりすることだ。