子どもの小学校入学は、晴れがましい一大イベントである。子にランドセルを選んだり、孫に贈ったりする方も多いだろう。来年、小学校に入学する子をもつOさんは、ランドセルを選ぶ「ラン活」を昨年から開始し、親戚や友人から体験を聞いたり近所の小学生を観察したりしたところ、荷物が重くて苦痛を訴える児童が少なくないと知った。「ララちゃんランドセル」で知られる株式会社羅羅屋が2020年4月に発表したランドセルに関する実態調査「ランドセル白書 2020」によると、小学生の8割以上がランドセルを使う中で重さや体の痛みを感じた事があると回答している。
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ランドセルの中身が重くなった理由は、教科書や副読本の「大判化」にある。そこに、コロナ禍によって教育のデジタル化が加速し、パソコンやタブレットが加わり、さらに重量化が進んだ。
ランドセルとサブバッグで7kgにも
私立小学校に通う4年生のK君のある日の荷物は、1.8kgのパソコンを入れた学校指定のランドセルで5kg、サブバッグは2kgにもなる。ある日、母親が背負ったランドセルが傾いていることに気付き、整形外科を受診したところ軽い脊柱側弯症と診断された。母親はとっさに「重い荷物のせいではないか」と考えたという。
小学生が持つ荷物の過重への懸念については、2018年に文部科学省から「児童生徒の携行品に係る配慮について」として事務連絡が出されているが、一部の教材を学校に置いておく「置き勉」や、月金に持つ体操服や給食エプロンと、習字道具等の学習用具を持ち運ぶタイミングをずらすなどといった対策は、現場に行き届いておらず、さらにパソコン等のデジタル機器が加わった。対策が追い付いていない中でも、子ども達の成長と健康は待ったなしである。そこで、整形外科医の井上留美子氏に重い荷物が子ども達の体に与える影響と、保護者が気をつけたいポイントについて聞いた。