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(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 昨年、北海道で発生したバイク同士の衝突死亡事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われていた北海道江別市の被告の男(47)に、10月2日、禁錮2年の実刑が確定した。

 検察官の求刑は禁錮2年6月、被害者参加人の科刑意見は懲役7年というもので、判決はいずれの求刑も下回る結果となったが、交通事故の場合、死亡事故であっても実刑となるのは極めて稀だ。

 令和元年の法務省統計によれば、過失運転致死罪で公判請求された者のうち実刑になったのはわずか4.6%。本件では裁判官がこの被告の悪質性を認め、それを加味した結果といえるだろう。

見通しの良い直線道路で起きた悲劇

 事故は2020年10月18日、午前10時20分頃、北海道新十津川町の見通しのよい直線道路で発生した。

 被告の男性は、事故の約2週間前の10月2日に、新車で納車されたばかりの大型バイク(900cc)で「慣らし運転」を兼ねたツーリング中だった。別のグループの4台のバイクが前を走る中型トラック(全長約9メートル)を追い越したのを見て、少し間が開いたにもかかわらず、後に続こうと対向車線に出た。そのとき、対向してきた被害者(当時50)の小型バイク(125cc)と衝突したのだ。

 トラックのドライブレコーダーには、その一部始終が記録されていた。

 被害者はとっさに避けようと急ブレーキをかけたが間に合わず、被告の大型バイクが被害者の右半身を直撃した。

 被害者はこの衝撃で、右腕、右足を開放骨折。骨盤は真っ二つに割れ、右膝から下は頭の方へ折れ曲がった状態で、国道の外へ跳ね飛ばされた。

事故の現場となった直線道路(筆者撮影)