世田谷区の調査で感染者の約半数に後遺症があることが判明した

 9月6日、東京都世田谷区の保坂展人区長は、定例記者会見(https://www.youtube.com/watch?v=2z9QF68SsSA&t=656s)の中で、保健所が確認した陽性者全員に対して大規模な「新型コロナウイルス感染症・後遺症」の聞き取り調査を実施、その結果を発表しました。

 本稿はその直後、どのメディアも報じないため9月6日夜に速報として準備したのですが、ゲラ確認時に事故があったようで記事の公開までタイムラグが生じてしまいました。

 その間に、後追いの報道が続き、NHKや朝日新聞からも大まかな内容は報道されました。その詳細に踏み込んで検討したいと思います。

 日本の自治体としては初めてのことだと思います。発表された結果の中で、最も注目すべきは「後遺症がある」と答えた人が 48.1%に上ったことです。

 大まかに言えば2人に1人は「何らかの後遺症があった」と答えている。ここに注目せねばなりません。

 この調査は2021年4月15日時点で新型コロナ陽性が確認された人、約9000人にアンケート用紙を発送し、3710人から返信があった回答を基に解析しています。

 病院に入院した人ばかりでなく、軽症だった人、無症状だった人も母集団として行われた、世界的に見ても非常に価値のある重要な「地域感染者全体を対象とする包括的後遺症調査」になっています。

 ポイントを解説してみましょう。

後遺症は軽症を含め2人に1人

 新型コロナウイルス感染症に関しては、すでに2021年初頭から「命に関わる病気」という以上に「後遺症が問題となる病気」に世界的には変質しつつありました。

 欧米では早々に「ロングCOVID」永続する後遺症が社会問題化し、英国やオランダでは国を挙げた後遺症対策が行われていることは、本連載でも早くから言及してきた通りです。

 ロングCOVIDに注目が集まった理由ははっきりしています。ワクチンの普及です。

 接種率が上がるにつれ予防が可能になり、また感染しても重症化する人が減り、一言でいえば「死ぬ人」が減った。

 病院は、急患であふれ返る状態を克服しましたが、次にやってきたのは急性症状は乗り切ったけれど、いつまでも後遺症が取れないという「罹患後」患者さんたちで、その数が半端なく多かった。

 そのため「ロングCOVID」などという言葉も生まれたのです。