不買運動の対象になったトヨタ自動車のレクサス(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(朴 車運:韓国ジャーナリスト)

 日本は韓国にとって最も近い隣国だが、憎悪の対象でもある。その憎悪は、文在寅政権が掲げる反日や反米によって煽られ、社会全体に広がり、罪のない人々に被害を与えている。

 日本との貿易に従事する人や日本料理店が嫌がらせを受けるというのは分かりやすい事例だが、ただ日本車に乗っているというだけで、文在寅シンパの攻撃に遭う人もいる。実際、日本と関わりのある人は被害に遭っても構わないと考える人は少なくない。

 例えば、韓国最大の自動車コミュニティ「ボベドリーム」は反日の先鋒である。「文在寅の親衛隊」と呼ばれるほど民主党支持を支持する左派勢力が掌握しており、自動車コミュニティなのか、政治コミュニティか分からないレベルだ。韓国の反日や反米運動はこのサイトから始まっていると言っても過言ではない。

 現に、反日ムードが盛り上がった2020年には日本車に対するイタズラ報告がコミュニティで相次いだ。その中身も、常識的に理解できない内容で、法と秩序があるはずの21世紀の韓国で起きたこととは信じがたい。

 一例を挙げよう。

 ボベドリームの会員たちは、街で日本車を見つけると、何時間も追跡し、停止線違反や駐停車などの過失を待つ。そして、何らかの過失を見つけた時点で、写真や動画を撮影し、警察に通報する(韓国には、スマホアプリを活用した警察への申告制度がある)。

 最近も、「駐車場でうっかり隣の車を引っ掻いた。隣に駐車していた車はレクサスだった。悔しい」という書き込みが掲載された。保険会社の過失判断は引っ掻けた運転手が100%。日本車相手に引っかけたことを悔しがっているということらしい。

 そして、このような異常な書き込みに同調する人が現れる。結果として、日本車を持つことがマイナスであるという意識につながり、反日正義、反日不買に変質する。こういった行為は明白な私有財産侵害だが、「日本製品だから大丈夫だ」というとんでもない意見が多数を占める。日本車に乗る人を売国奴に追い込んでいくわけだ。

 また、一方通行を逆走行している車が、正しく走行している日本車を避けない事例、駐車中の日本車に落書きやテロ行為を加えたことを誇らしげに自慢する例もしばしばある。