AIが設計した筆者の奥歯

 今回は、いま私の口の中にあるAI+ロボティクスの作品をご紹介します。

 ほんの数十分前まではこの世に存在していなかったものが「デジタルものづくり」で実現する過程をリポートしたいと思います。

 私は歯がダメなのです。両親とも大正生まれで、素は昭和モーレツサラリーマンの日常のため、「お医者は後でいいからまず仕事」となりやすく、全身もろもろ不摂生です。

 歯は典型的にひどいもので、奥歯は軒並み何らかの手が加わっています。左利きなので利き顎は左ですが、使い過ぎて左下の1本はダメになってしまい根から抜いてしまいました。

 しかし、いろいろあってインプラントはしたくない。ブリッジもしたくない。1本だけの入れ歯というのも不便(不摂生な割に注文の多い患者なのです)。

 そんなわがままに対して、ウルトラCを考えてくださったのが私の主治医、歯科の寺田秀雄先生です。

 隣の生きている歯からテラスのように伸ばすオリジナルなデザインを考えていただき、ここ数年は、それで飲み食いしてきたのです。

 ところが異変が起きたのです。正確には私が起こした。

 メガネや半導体などを洗浄する、超音波洗浄機というものがあります。あれを応用する歯ブラシを導入したのです。

 すると、洗浄力が強すぎたのか、この歯を留めていたセメントまで取れてしまった。

 ということで、寺田先生に診察していただくと「AIで新しい歯を作ってみましょう」というご提案。

 そこで、すぐその場で作って、その場で完了する過程を私自身経験してきたので、それをリポートします。

米国の歯科メーカ「Dentsply-Sirona」(https://en.wikipedia.org/wiki/Dentsply_Sirona)の供給するシステム「CEREC Dental Labo」(https://www.dentsplysirona.com/ja-jp)で歯を作ってみることになりました。

 80分ほどですべてが完了し、新しい歯がいま私の口の中に納まっています。