農産物の「出荷制限」はこうして決まる

原発事故から2カ月、食品はどこまで安全なのか

2011.05.06(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 福島第一原子力発電所の事故によって、ヨウ素131やセシウム137などの放射性物質が大気中に漏出した。福島や茨城で採れた野菜は食べて大丈夫なのか、飲料水に放射性物質は含まれていないのか。事故直後から、原発周辺の市民はもちろん、首都圏の住民の間でも不安が広がった。

 事故から2カ月が経とうとしている。食品の放射能汚染について整理して、これまで起きたことを検証したい。

 まず、食品の規制の方法を確認し、次に農産物の出荷制限の状況について触れる。その上で、放射線が検出された食品を摂取した場合の健康への影響がどれほどのものかを見てみる。

「暫定」基準値は当分維持される

 今回の事態を受け、厚生労働省は飲食物の摂取を制限する「暫定規制値」を設定した。値を上回る食品は、出荷制限と回収・廃棄を実施している。

 本来、食品の規制では、政府の「食品安全委員会」でリスク評価を行った後、厚生労働省などの管理機関で規制値を決める。しかし今回は緊急事態だったため、食品安全委員会の諮問を経ずに、厚生労働省が規制値を設定した。

 その根拠となったのは、原子力安全委員会の指針だ(下表)。

暫定基準値の根拠となった原子力安全委員会の指針。単位はBq/kg(1キログラムあたりベクレル)

 この規制値は、あくまで「暫定」のはずだった。だが、その後、食品安全委員会は暫定基準値を「変更すべきとはしない」との見解を示した。この値は当分維持されそうだ。

 上記の表にはないが、放射性ヨウ素について、4月5日、魚介類の暫定基準値「1キログラムあたり2000ベクレル」が追加された。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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