フェイスブック ロゴ(写真:AP/アフロ)

 「メディア王」ルパート・マードック氏が会長を務める米メディア大手ニューズ・コーポレーションは3月15日、米フェイスブック(FB)とオーストラリアでのニュース配信に関するパートナーシップ契約で合意したと明らかにした

豪全国紙などに記事対価支払いへ

 3年間の契約で、フェイスブックの新たなニュースサービス「フェイスブック・ニュース」に、ニューズ傘下の豪全国紙ジ・オーストラリアンや豪ニュースサイトnews.com.au、シドニー都市圏のザ・デイリー・テレグラフ紙、メルボルンのヘラルド・サン紙、ブリスベンのザ・クーリエ・メール紙などのニュースを配信する。

 フェイスブックはニューズ傘下のニュース専門テレビチャンネル「スカイニュース・オーストラリア」とも新たな契約を結んだ。

 フェイスブックは2019年10月、米国でのフェイスブック・ニュースに関してニューズと提携。記事の使用料を支払っている。今回の提携合意はこれに続くものだという。

豪法案に反発し強硬策、政府が譲歩

 オーストラリアでの契約合意の背景には、同国政府の譲歩があると言われている。

 フェイスブックや米グーグルなどのIT大手のサービスを巡っては、「メディア企業が費用を投じて作ったコンテンツを、対価を払わず検索結果やニュース配信サイトに表示している」として批判の声が上がっている。IT大手がネットサービスで巨額の広告収入を上げる一方、メディア企業の多くは広告収入の減少に直面しているという。

 こうした中、豪政府は20年12月にIT大手に対し記事使用料の支払いを義務付ける法案を議会に提出した。だが、これに2社が反発した。

 フェイスブックは「報道機関は自社のフェイスブックページに自主的に記事を投稿している。自社サイトにフェイスブック用投稿ボタンを設置し、利用者による記事の共有を促している。それらがニュースフィードに表示されているだけだ。我々が収集したものでもない記事に対し、法外な使用料の支払いを求める法は当社と報道機関の関係を根本的に誤解している」と批判した