(平井 宏治:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・株式会社アシスト代表取締役)
東北新社の子会社が継承した衛星放送事業の認定が取り消されることになりそうだ。この事件では、東北新社(菅義偉総理の息子さんら)が総務省を接待したことと免許認定の取り消しを関連させ印象操作を狙ったような記事や意見が散見される。しかし、これら報道で散見される記事や意見は、放送法の外資規制ルールを知らない、いわゆる陰謀論の類に過ぎない。
本稿では、東北新社の認定取り消しの理由を説明し、総務省のクリーンヒットである新外資規制ルールなどについて説明する。
放送業界への外資規制は世界の常識
わが国では、電波法や放送法により放送会社の外国人等議決権割合は5分の1を超えてはならないと定められている(表1)。放送が世論に及ぼす影響を考慮した安全保障上の理由から、放送業者に対する外資規制は、わが国だけでなく、アメリカ合衆国でも欧州でも類似の制限が設けられている。
(* 配信先のサイトで図表が表示されない場合は、JBpressのサイトで本記事の図表をご覧ください。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64499)
総務省は、2005年4月14日に情報通信政策局が作成した「放送局に対する外資規制について」の中で、放送業界に外資規制を導入する理由について「地上放送は、国民的財産である公共の電波を使用するものであり、その有限希少性が強い。政治、文化、社会等に大きな影響力を有する言論報道機関として重要な役割を担う。災害情報等をはじめとする国民生活に不可欠な情報を提供。」と述べている。
放送が国民世論に与える影響を考えれば、外資規制を導入することは合理的だ。