3月5日、1都3県の緊急事態宣言の期限を2週間延長することを発表した菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 菅義偉首相は自分の言葉の意味を理解できているのだろうか。

 日本語の使い方がおかしいことは、以前にも書いた。それにもまして、支離滅裂とも受け取れる発言が、このところ気になって仕方ない。

(参考記事)「スピード感をもって」とは?国語力疑わしい菅首相
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64286

2週間延長でも、結局は国民に自粛要請するだけ?

 首都圏1都3県に出されている緊急事態宣言がさらに2週間、3月21日まで再延長されることになった。5日夜の政府の新型コロナウイルス対策本部で決まった。この日の首相の発言をまずは振り返ってみる。

 決定前の同日午前の参議院予算委員会。菅首相は2週間延期の政府方針について、こう述べている。

「緊急事態宣言は、国民の日常生活に大きく制約するものであり、国民や事業者の皆さんのご協力にもかかわらず、今回2週間程度の延長が必要だと考えるに至ったことについては、率直に申し訳ない。このように思っております」

 そう陳謝した。その上で続ける。

「再びこの宣言、リバウンドをなんとしても防ぐというそういう思いの中で、全力全霊をあげて取り組んでまいりたい」

「もう国民の皆さんに制約をお願いすることがないように、そういう思いで臨むのが私ども政府の役割だと思います」

 そして、延長決定後の夜の記者会見。最初は1月に緊急事態宣言が発出されて以降、新規感染者、入院者、重症者の数が減少していることに触れ、

「これは、諸外国のような厳しい宣言を行わずとも、ひとえに皆様方の踏ん張りと、心を一つにして懸命に取り組んでいただいた結果であります。医療、介護などの関係者の皆さんの御尽力、国民の皆さんの御協力に心より感謝申し上げます」

 と、した上で、

「当初お約束した3月7日までに宣言解除することができなかったことは大変申し訳ない思いであり、心よりおわびを申し上げます」

 と、これまた国民に陳謝している。そして、今後の対策方針として挙げたのが、

「飲食店の時間短縮、不要不急の外出の自粛やテレワーク、こうした効果的な取組を地方自治体と連携し、徹底してまいります」

「特にリスクの高いのはマスクを外した会話が多くなる飲食であり、そこが対策の中心となることも分かってきました。春は卒業式、入学式、歓送迎会など人生の節目であるとともに、お花見など人が集まる機会も多くあります。昨年末には忘年会の影響で感染が拡大したと、こうした指摘もあります。今回、そうした機会であっても、大人数の会食はお控えいただきますよう、お願いします。そして、解除後の地域であっても、会食はできるだけ御家族、または4人以内でお願いいたします」

 しかもこれを啓蒙するために、今後はテレビコマーシャルやSNSの動画による広報に力を入れていくという。