東京都の小池百合子知事 2021年1月22日撮影(写真:つのだよしお/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長のいわゆる「女性蔑視」発言が大きな波紋を呼び、連日テレビのワイドショーに話題を提供した。その結果、森会長は辞任を決意した。

 その辞任意向表明前に、小池百合子東京都知事が17日に開催予定と報道されていたIOC、東京都、国、組織委の4者会談に出席しない意向を早々と表明した。集中砲火を浴びている森会長をさらに突き放すような態度に出たのである。

 都知事は何を考えているのか。東京都は五輪の開催都市だ。その首長によるこの発言は論外である。また、この権力亡者の本性が現れてきたと言っていい。森「失言」にチャンス到来とばかりに、自分の存在を誇示するいつものパフォーマンスである。

マスコミ受けするネタを提供し存在感誇示する得意の手法

 新型コロナウイルス対策において東京都が日本で最悪の状況を生んでいるのは、小池都政の責任だ。その自らの失敗から国民の目をそらすのに絶好の機会が来たと思ったのであろう。マスコミが飛びつくようなネタを繰り出し、耳目を集めて人気を上げようとするのがこの政治家の手法である。その無責任な仕草の後に残るのは、まるで爆撃でも受けたかのような「廃墟」の山である。

 たとえば、小池都知事の新型コロナウイルスの感染防止対策は失敗の連続である。世界に誇る医療資源を持ちながら、医療逼迫と言われるような状況を招いたのは彼女である。都庁での定例会見では、言葉遊びに終始し、やたらに横文字を使い、カネをかけて各種のフリップを使う。しかし、医療資源の最適配置などの努力は行ってこなかった。

 コロナから回復した重症患者を中小規模の病院に移すことすら実行しなかった。軽症者用に借り上げたホテルなどの施設もガラ空きである。これでは重症者用の病床不足になるのは当然である。

 都民の努力で感染者数は激減しているのに、緊急事態宣言を解除できないのは、重症者用の病床が足りないからである。その原因を作っているのが都知事の怠慢である。