田んぼの中にある橋桁の存在感

 2つの橋桁を再利用したのは、信濃川の西を流れる渋海川(しぶみがわ)に架ける道路橋だ。「岩田橋」と「不動沢橋」という。

浦村鉄橋(紫色のマーク、JR信越本線)、越路橋(黄色のマーク、道路橋)、岩田橋(同)、不動沢橋(同)(Googleマップ)
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 渋海川は大きく蛇行しているため、洪水や土砂崩れが頻繁に起こる「あばれ川」だった。増水しても流されない丈夫な橋の必要性から、頑丈な鉄道橋を利用することになったのだ。

岩田橋
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 川沿いに点在する製菓工場や秋色の田畑の中を歩いて行くと、この写真のように突然視界に鮮やかな色の橋が飛び込んでくる。岩田橋は1958年(昭和33年)に設置された。以前は赤色だったが、2017年、翡翠をイメージするエメラルドグリーンに塗り替えられた。

 一見すると鉄道の線路が通っているようだ。道幅の狭い生活道路に、鉄道橋に使われていた存在感のある橋桁、という取り合わせが独特の景観を作り出している。

不動沢橋
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 岩田橋からさらに南にある不動沢橋は、1959年(昭和34年)に設置された。2013年に塗り替えられた赤色の橋を、のんびりと車が通り過ぎて行った。

 近くには普通のコンクリート橋もあるが、それらに比べると岩田橋と不動沢橋の勇姿は際立っている。最初に作られてから120年を経過しているが、定期的なメンテナンスを受けて現役で活躍する、地元にとってなくてはならない橋となっているのだ。