以前にも書きましたが、ヘンリー・フォード(1863〜1947)は、T型フォードを1908年に開発し、世界で最初に自動車を大量生産したことで知られます。
しかし、大量生産方式はフォードが初めて導入した生産方法ではありません。フォードが革新的だったのは、すでに半世紀前から導入されていた武器の大量生産と肉のパッケージ産業のアッセンブリーラインを自動車に導入したことでした。
さらにフォードは、両方の方法を改良し、生産スピードを改良しました。フォードの自動車産業に対する最大の貢献は、この点にありました。
T型フォードの特徴は、フォードの「もし、黒色であるなら、どんな色の車でも買える」という言葉に集約されると言えるでしょう。彼が考えたのは、できるだけ安価な自動車を生産することでした。T型フォードは、そこにおいて大成功を収めた自動車だったのです。1908年から1927年にかけて、約1500万台を生産したことがその証明です。
当時、このフォードの牙城を崩すことは誰にもできないと思われていました。ところが、これを成し遂げる人物が登場しました。ゼネラルモータース(GM)のアルフレッド・スローンです。彼は、GMを世界一の自動車会社にすることに成功しました。
いったい、なぜそれが可能になったのでしょうか。