全国で新型コロナ感染がピークを迎えた4月半ば、埼玉県は医療崩壊の瀬戸際にあった。渦中の讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)は独自モデルの立ち上げに奔走した。

 眠れない・・・。

 もし院内感染が発生したら・・・。新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに慎重な病院があり、このままでは埼玉県では増え続ける患者(とくに重症患者)を収容しきれなくなるのではないか・・・。受け入れ病院が限られているため、患者の搬送の調整に時間がかかり、いわゆるたらい回しに近いことも起こっている・・・。感染爆発が起こったら、今の医療体制では対応できない・・・。

 でも、不安で眠れないのではありません。恐れている問題を解決するために、やるべきことが山のようにあるからです。4月半ばの2週間ほど、私は興奮状態にあったのか、疲れて眠りたいはずなのに3時間しか眠れない日々が続いていました。

 4月13日。11日に発熱した当院(自治医科大学附属さいたま医療センター)看護師のPCR検査の結果が出ました。

 陰性。

 院外での濃厚接触歴がないこと、発熱はあるもののそれ以外の所見が新型コロナウイルスの感染を示していないこと、院内感染の可能性は限りなくゼロに近いことから、陰性であるという自信はありました。それでも結果を知って正直ほっとしました。

 その看護師は4月8日の夜勤で新型コロナ感染症患者を診ていました。しかし、厳格に感染予防策を行っていれば、医療従事者が院内で感染するリスクは市中よりもはるかに低いというデータがあります。裏返せば、当院のように感染症指定施設でないにもかかわらず新型コロナウイルス感染症患者を積極的に受け入れた病院は、院内感染対策や医療安全上の対策に自信があるのです。とはいえ、慎重の上にも慎重を期さなければなりません。私はスタッフにくり返し言い続けました。

「完璧な潔癖症になれ!」

「対人恐怖症になれ!」