(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)
緊急事態宣言は5月末までの延長が決まり、経済活動へのさらなる影響が確実なものとなりました。とくに、雇用への影響が危惧されています。自粛の影響で失職する人が増加することは間違いありません。日本全体の雇用状況にも大きな影響を及ぼすと思われます。
正社員なら解雇されにくいと思われがちだが・・・
会社は非正規から手をつけ、その対象は正社員に移行します。しかし、正社員は過去に多くの裁判で不当解雇の判決がくだされていることから、解雇条件が厳しいことは周知のとおりです。
労働契約法第16条には「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と記載されています。つまり、企業は簡単に労働者を解雇することはできないのです。
それでも、業績が悪化すれば会社側も悠長なことは言っていられません。
社会通念上というのは、「誰がどう見ても解雇に匹敵する」状態のことです。そのため、会社は解雇を正当化するためのアリバイ作りに腐心します。そして懲戒解雇に追い込みます。懲戒解雇は、労働者が重大なルール違反を犯した場合に科される制裁的な解雇です。