4月12日、政府は、福島第一原発事故を最悪のレベル7に引き上げた。これに対して、判断が遅すぎる、今さら何だ、と非難が続出している。

 また、4月17日、東京電力は、事故収束に向けた工程表を発表した。これについては、1カ月以上も何をしていたのか、どうせ政府から圧力をかけて無理やり作ったのだろう、こんな工程表通りにいくわけがない、というような批判がなされている。

 しかし、原発事故については(内容はともかく)工程表が出ただけ、まだましである。東日本大震災の復旧・復興や避難者の対処については、一向にその見通しが明らかにならない。現在も避難者は12万人以上いる。

 さらに、政府は4月14日、セカンドオピニオンのために「復興構想会議」とやらを立ち上げたが、そもそも政府のファーストオピニオンがないではないか。

 復旧・復興の方針もない、その工程表も作れない。これでは菅直人内閣はあの忌々しい東電以下だ。一体、菅内閣は何をしているのだろう。

政府組織は対策本部だらけ、日本半導体はコンソーシアムだらけ

 菅内閣が機能しない理由は、対策本部を乱立させたことにある。4月22日時点で、原子力災害対策本部、被災者生活支援特別対策本部、原子力被災者生活支援チーム、震災ボランティア連携室など、新設された政府の組織が20以上もあるという。組織は多元化され、人材は分散・重複し、指揮命令系統は混乱しまくっているのだろう。菅内閣が機能不全に陥っているのは、誰が見ても明らかだ。

半導体関連のコンソーシアムや国家プロジェクト(出所:電子情報技術産業協会「ICガイドブック 09-10年度版」、図4‐2‐7)
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 地震と津波、そして原発事故で、家族、家、財産、仕事、すべてを失い、瓦礫の山に囲まれて、いつまで続くか先の見えない避難生活を送っている人々には、心の底からの同情を禁じ得ない。

 対策本部だらけの政府組織図を見て、筆者は日本半導体産業のコンソーシアム乱立を連想した(右の図)。

 1995年以降、10年の間に信じられないほど多数のコンソーシアムや国家プロジェクトがつくられたのである。