2月13~14日にローマで開催されたG7は、米オバマ政権発足後で初の国際金融会議ということである程度注目はされたものの、共同声明は総じて新味のない内容にとどまった。
オバマ政権が大型経済対策の早期議会通過を強く促したことや、金融安定化策を「生煮え」のまま発表したことの背景には、G7までに世界経済危機の震源地として一定の政策的な実績を確保しておきたいという意図があったものと推測される。

 だが、今回はそこまですることで精一杯だったという印象を拭えない。1カ月後には
英国でG20財務相会合が開かれ、4月2日の第2回金融サミットに向けた準備が進められる。今回のG7は、そのまた前段階にとどまったという位置づけになるのだろう。

 G7共同声明は、「世界経済と金融市場の安定化は依然として我々の最優先課題である。我々は、これらの課題に対処するため共同して例外的な措置を取ってきたし、成長と雇用を支持し、金融セクターを強化するため、あらゆる政策手段を用いて協働するとのコミットメントを改めて確認する」「G7は、世界の金融システムへの完全な信認を再構築するために必要となればあらゆる追加的措置を取ることにコミットする」と明記。大きな危機が続く中で「政策総動員」を続けていくことにコミットした。

 共同声明はさらに、「G7の政策対応は、迅速かつ力強いものであったし、その効果は時間の経過とともに完全に発現する」と自画自賛した。だがこれは、政策当局による公式文書という性格上そう書かざるを得ないのであって、政策効果発現について、各国に自信があるとは思えない。

 金融政策について共同声明は、「政策金利は非常に低い水準まで引き下げられており、必要に応じ非伝統的な金融政策上の行動が取られている」と記述。白川日銀総裁はG7終了後の記者会見で、「そうした政策措置は適切であるという評価だったように思う」と述べた。

 財政政策についての共同声明の記述は、各国の政策金利がゼロに近づいている中で、金融政策よりも厚みを持った。「財政措置は断固たるものであった。自動安定化機能の十全な発揮に加え、大規模な追加的財政刺激策が実施されつつある。各国の対策を併せて実施することにより効果が増大する」と書いた後で、共同声明は、(1)「前倒し及び迅速な実施」、(2)「国内需要と雇用創出を刺激し、最も脆弱な人々を支援するための、歳出と税制措置の適切な組み合わせを含むこと」、(3)「重点を定めた投資により構造的弱点に対処し、長期的な成長見通しを向上させること」、(4)「中期的な財政の持続可能性と整合的であり、概ね一時的な措置によること」という、財政出動に関する4つの原則を掲げた。

 上記(3)は、短期的な景気刺激にとどまらず、中長期的にメリットのある財政出動を行うべきだ、という考え方の反映。経済の生産性向上につながりにくい公共投資をやたら上積みした1990年代の日本の失敗も教訓にしながら「グリーンニューディール」を打ち出した、米オバマ政権の意見も反映されているのだろう。

 また、上記(4)が、野放図な財政出動が悪い意味での長期金利上昇につながってしまうことは避けたい、という考えから打ち出された原則であることは明らかだろう。このことは、財政出動にタガをはめる方向の話である。