「振動に強くしようとネジを増やせば重くなる。かといってネジを減らせば壊れる可能性がある。どこまでネジを減らしても壊れないかは悩みどころ。さらに太陽電池パネルが増えた分も含めて、初号機と同じ質量でというオーダーがあり、ネジの頭をけずったり、材質を変えたりしています」

 軽量化のための涙ぐましい努力。それでも「SAR衛星のたくさんの機能をこんなに小さいサイズに納めるのは世界初。それなりの努力をしないとできないだろう」と古賀さんが言えば、「QPS研究所さんの地場企業に対するリスペクトが感じられるから、期待に応えたい」と久原さんも努力を惜しまない。

 久原さんは、営業部員として「ビジネスなので損失が出ては会社に怒られる」と言いながらも、QPS研究所さんが掲げたキーワードのひとつに共感したと語る。

「『Shake the world 世界を驚かそうぜ』という言葉です。我々の社名にも研究所とあるが、研究は研ぎすませて究めると書く。物事の最先端を究めなければ置いていかれるという危機感がある。とはいえ、自社だけで衛星を作るのは厳しい。我々が得意とするところで情熱を持てる仕事に参画させてもらえることがありがたい」

昭和電気研究所 営業部の久原彰太さん。

 峰勝鋼機も昭和電気研究所も、宇宙プロジェクトに参加することで他社にない技術力をアピールする宣伝効果をメリットとして挙げる。九州発の宇宙産業は始まったばかりであり現時点ではその規模は限られるが、将来的には絶対に大きくなる産業。さらに、昭和電気研究所は「中小企業の底力」を世の中に見せたいと意気込む。

「『九州でこれだけのことをやれるんだ』と少しでも我々のことを知ってほしい。電気設計の人材不足は深刻です。若者には、かつて世界を股にかけた電気メーカーが不振にあえぐ状況しか見えていないかもしれない。だが、大企業を支えるのは我々のような小さな企業。つまり『日本を支えているのは中小企業だ』と分かってほしい」(古賀さん)

「イザナギ」「イザナミ」は、日本を支える中小企業の技術力の実証の場でもある。彼らの確かな技術力と矜持が、いよいよ宇宙で花開くときが来ている。