米グーグルによる米ITAソフトウエアの買収を米司法省が認めたというニュースが話題になっている。これに伴って司法省が厳しい条件を義務づけたことから、同省はこれまで以上にグーグルを監視できるようになり、今後大きな訴訟に発展するのではないかと米メディアが報じている。

 ITAソフトウエアは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューター科学者が1996年に設立した会社。同社のソフトウエアは、フライトスケジュールや運航路線、運賃などの情報を管理しており、航空業界や旅行業界で採用されている。

 グーグルがこの会社を買収し、検索サービスで航空便や航空券情報を提供すると発表したのは昨年の7月。

 ところが旅行予約サイトの運営会社がこれに真っ向から反対。各社は「フェアサーチ(FairSearch.org)」という団体を結成し、司法省などに働きかけた。この団体には後に米マイクロソフトなど4社も加わり、反対運動は広がっていった。

旅行サイトが勝利宣言

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グーグル本社〔AFPBB News

 今回司法省がグーグルに提示した承認案は、これまでの懸念を一つひとつ解決する広範囲のものになり、これを受けて旅行予約サイト側はさっそく勝利宣言した。

 例えば、旅行予約サイトは自社の事業運営に必要なITAのソフトウエアがグーグルから提供されなくなると懸念していたが、司法省はグーグルに対し、今後5年間にわたり新規顧客を含む他社に適正な金額でソフトウエアをライセンス供与することを義務づけた。

 これを司法省は「公平で合理的かつ非差別的な条件のもとで」という文言で表現している。

 またグーグルには技術開発を続けることも義務づけられた。その投資規模は、ITAソフトウエアのここ数年の水準を下回ってはならないというもので、つまりグーグルは当面自社の都合でITA事業を停止できないことなになる。