現在30~39歳の1980年代生まれの中国人は、金遣いが荒く給料は全て使い切ると言われていた。しかし最近の若い世代の間では、堅実に資産運用する風潮が高まっているという。中国の今どきの若者の金銭感覚を、中国・上海の投資コンサルティング会社に勤務する山田珠世氏がレポートする。(JBpress)

意外に堅実な新人類「90後」

 中国では長い間、1980年代生まれを意味する「80後(バーリンホウ)」が、“一人っ子政策の申し子”の代名詞とされてきた。「ワガママで打たれ弱い現代の若者」という烙印を押されてきた彼らも、すでに30~39歳。80後が若者の域を超える歳になり、今では1990年代生まれの「90後(ジウリンホウ)」が新人類として語られるようになってきている。

 90後といえば、80後の特徴に加えて、後先を考えずにお金を使ってしまう「月光族」(月給を使い切ってしまう人々を指す)というイメージが強い。ところが、このほど発表された調査リポート「90後の貯蓄に関する報告書」によると、「毎月の給料は残す」と答えた人が92%に上り、意外にも堅実な一面があることが分かった。

 また、80%が「残った給料で資産運用している」と回答。90%が「理性的に消費する」「必要ないものは買わない」と回答するなど、90後の消費に対する世間のイメージを覆す結果となっている。

23歳から資産運用をスタート

 調査を行ったのは、中国新経済研究院と、電子商取引(EC)中国本土最大手、アリババグループ系の電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」。リポートによると、90後が資産運用をスタートする年齢は23歳というから驚きだ。大部分の人が、就職後2年以内に資産運用を始めると答えており、この年齢は親の世代より丸10年早いという。

 同じくアリババ系の螞蟻金融服務集団(アント・フィナンシャル)が運営するMMF(マネー・マーケット・ファンド)「余額宝(ユエバオ)」の貯金額については、親世代より1カ月当たり平均1000元(約1万5000円)多いことも分かった。またユエバオ以外に、アリペイの中で親世代より2種類、2回それぞれ多く資産運用商品に投資している。