国内は参院選の運動たけなわですが、選挙期間中は選挙にまつわる話題を避けます。今回は、いまだ収束の兆しが見えない「闇営業問題」を、芸能界や芸人の側からではなく、「闇」のサイドから考えてみましょう。
現在、日本では古典的な「ヤクザ」は滅亡寸前にあると思います。
日本全国に暴排条例の網の目が張り巡らされ、指定暴力団の構成員、準構成員とみなされることは、通常の社会生活が送れなくなることを意味します。
銀行口座一つ持つことができず、自分だけでなく家族や子供にも露骨な影響が出る。組織暴力団の構成員を根絶やしにしよう、という強力な政策が徹底されています。
そうなると、いわゆる「組織」に属さない形で、グレーないしブラックな稼業に手を染める人が、とりわけ若い世代から登場してくることになります。
今回の芸能人「闇営業」で問題となったケースの中には、オレオレ詐欺など犯罪を働く、比較的年齢層の若い「施主」が、芸人を呼んだものが報じられていました。
広域暴力団に属さずに活動する犯罪者集団は「半グレ」と呼ばれています。
話題になった「闇営業」ですが、ここで注目すべきポイントの一つとして、オレオレ詐欺などを働いた「半グレ」のケースは指定広域暴力団員等ではないことを挙げておきましょう。
つまり、しばらく前に漫才師の島田紳助が廃業したのとは、状況が異なっていることに注目する必要があると思います。
明らかに指定暴力団員の名刺などを持っていればまだしも、微妙に「やんちゃ」な施主さんに呼ばれて芸人がお座敷に向かう際、相手がどんな人間か、もっと露骨に言えばオレオレ詐欺などを働いていたか、などを見分ける方法はたぶん原理的にありません。
翻って表の正業を含め、すでに確立した利権の構図を持っているヤクザは、正業を回しつつ何とか命脈を保っているかと思います。