5月21日、インドネシアの大統領選挙で勝利を宣言する、現職のジョコ・ウィドド氏(左)と、イスラーム組織ナフダトゥル・ウラマー(NU)の指導者マアルフ・アミン氏(写真:AP/アフロ)

 インドネシアの政界勢力図が塗り替えられようとしている。

 4月17日に投票され5月21日に確定した大統領選挙で現職ジョコ・ウィドド大統領の再選続投が決まったことで、これまで野党連合だった複数の政党が与党側に鞍替えする政界再編が水面下で蠢動し始めており、ジョコ・ウィドド大統領には2期目5年間の政権運営がさらに強固なものになりそうな状況だ。

 大統領選はジョコ・ウィドド大統領と野党「グリンドラ党」の党首で元陸軍戦略予備軍司令官のプラボウォ・スビヤント氏による一騎打ちでジョコ・ウィドド大統領が得票率55.5%でプラボウォ氏の45.5%を抑えて勝利した。

 ただ、選挙と開票の過程に不正があったとするプラボウォ陣営が憲法裁判所に選挙結果不服の訴えを起こしているため、同裁判所の審査が終わる予定の6月28日まで法律上は選挙結果の最終確定は持ち越しということになっている。

 しかし、同じ顔ぶれで行われた前回2014年の大統領選でも敗れたプラボウォ陣営は同様の訴えを起こし、証拠不十分で棄却されているので、今回も憲法裁判所は同様の結果を出すことが濃厚とみられ、同陣営の再度の敗北が確定するのは間違いない。

 こうした動きを視野に入れながら、10月の新大統領就任式典、新内閣発足に向けてインドネシアでは今、政界再編成の動きが活発化している。

民主党は党首代行が活動活発化

 野党連合の一角としてプラボウォ氏支持を打ち出していた民主党は、党首のスシロ・バンバン・ユドヨノ(SBY)前大統領が、妻アニさんが急病でシンガポールの病院に入院(2019年2月)したことから看病に専念することになり、選挙戦半ばで党首の役割を長男のアグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏に譲った。