3月15日時点までの福島の原発事故の報告の記者会見を見ていると、原子力安全・保安院の方も東京電力の関係者も、情報を意識的に隠しているのか、それとも本当に詳しく知らないのか、なんとも判断に苦しみます。
ただ、15日に菅直人首相が東電本社に乗り込んで怒りをぶちまけた時の発言を聞いていると、情報が上がってくるのが遅いため的確な対応を打てないので困っている、というよりも、「聞いてない!」「知らされていない!」ことを感情的に怒っている感じがします。
私も市長をしている時に何度か小規模な災害を経験しましたが、小規模であってもやはり現地は混乱するので、なかなか情報が正確かつ迅速に上がってくるものではありません。
ましてや、これまで経験のなかった事態ならなおさらです。私の経験でもそうでした。
九州は台風被害や大水の被害は経験が豊富ですので、迅速に対応できるのですが、ある時、竜巻の被害が発生して、何百件という家の屋根が吹き飛びました。しかし、職員も私も最初のうちは何が起こったのかまったく分かりませんでした。
そこで、市役所の災害指揮所から現地の公民館に指揮所を移し、その場から職員を情報収集に回らせ、被害の程度を把握して作戦を指揮したことがありました。
小さな市であっても、やはり初めてのことだとなかなか情報が正確に入ってはこないのです。ましてや今回のような大規模かつ初めての原発事故なら、なおさら混乱を極めていると思います。
上級幹部こそ現場で情報収集を
今回の件では、何号機で水位が下がった、何号機で爆発が起きた、という報道は多いのですが、現地に誰が派遣されて情報収集に当たっているのかが伝わってきません。報道もされていないし、それぞれの組織のウェブサイトにも発表されていないので、正確なところは分かりません。