米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」に部品を供給している電子機器メーカーにとって、アイパッドが売れるのは喜ばしいこと。しかし多くのアジアのメーカーは自らもタブレット端末を手がけており、悲喜こもごものようだとウォールストリート・ジャーナルが報じている。
韓国サムスン電子や、東芝、韓国LGディスプレイなどはメモリーチップやディスプレイパネルといったアイパッドの主要部品を製造するが、サムスンには昨年10月に発売した「ギャラクシータブ(Galaxy Tab)」という端末があり、現在は新モデルを開発中だ。
東芝は「フォリオ100(Folio 100)」という製品を11月に欧州などで発売しており、今後は日本や米国の市場でも同様の展開を計画している。またLGディスプレイの親会社、LGエレクトロニクスはこの3月に8.9型の端末を米国市場に投入する予定だ。
もしアップルの新端末「アイパッド2(iPad 2)」が初代モデル同様に成功すれば、これらメーカーはその恩恵を受けることになるが、その反面、競争は激化し自社端末の販売が伸び悩む。結果として利益率が低下するとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
また、あるアナリストはアップルが先週発表したアイパッド2の性能が大幅に向上していることから、タブレット市場で同社の優位性がしばらく続くと見ており、アジアのメーカーにとっては、自社のタブレット事業と部品事業のバランスを取るのが難しくなると指摘している。
タブレットの影響でPCの伸びが鈍化
これに関連して米国の調査会社ガートナーが興味深い市場予測を発表している。同社はタブレット端末の市場とパソコンの市場を分けて考えているのだが、今後アイパッドなどのタブレットは、ノートパソコンの伸びの鈍化という犠牲のもとで売れていくというのだ。
同社は世界パソコン出荷台数の予測値を下方修正している。これまで前年比15.9%増としていた2011年のパソコン出荷台数を同10.5%増の3億8780万台に引き下げ、2012年の出荷台数については、これまでの前年比14.8%増から同13.6%増の4億4060万台にした。