相変わらず多くの日本人が新聞やテレビに高い関心を寄せている(写真はイメージ)

 メディアに関する信頼度調査で、民放テレビが上昇する一方、インターネットの信頼度が低下していることが分かった。

 日本はもともと新聞に代表される従来型メディアに対する信頼度が異様に高いという特徴が見られる。近年の日本では、あらゆる階層の人が、新聞やテレビをはじめとする従来型メディアに対して激しい批判を行っているが、こうした言動も、裏を返せば、多くの人が新聞やテレビに対して高い関心を寄せていることの証拠である。

 ここまでネットが普及したにもかかわらず、日本ではニュースの多くを従来型メディアに頼っている。だが従来型メディアに対する精神的な依存から脱却しない限り、報道の多様化は進まないだろう。(加谷 珪一:経済評論家)

相変わらず信頼度が高いNHKテレビ

 公益財団法人「新聞通信調査会」は毎年「メディアに関する全国世論調査」を行っている。最新の2018年版によると、各メディアに対する信頼度は、NHKテレビが最も高く、2位が新聞、3位が民放テレビ、4位がラジオ、5位がインターネット、6位が雑誌だった。

 メディアの信頼度に関する順位は、長期にわたってほどんと変化しておらず、NHKに対する信頼度は2008年が74点、2018年も70.8点と高得点が続いている。新聞もほぼ同レベルで2008年は72点、2018年は69.6点だった。一方、雑誌の信頼度の低さにも変化がなく、2008年度は48.2点、2018年でも43.1点と大きく変わっていない。

 年代別でも大きな差は見られない。トップのNHKテレビは得点こそ年齢が下がるにしたがって低下してくるが、20代、50代、60代、70代以上でトップとなっている。30代と40代だけは新聞とテレビが逆転しているが、働き盛りの年代なので、あまりテレビを見ていないことが影響していると思われる。

 そうした中で近年、顕著に変化したのが民放テレビ局とインターネットである。

 民放テレビ局は、2017年の調査は59.2点だったが、今回の調査では新聞との順位逆転には至らなかったものの点数が急上昇し62.9点となった。2017年まではほとんど点数が変わらなかったので、これは2018年に特徴的な動きといってよい。