中国政府が中国海軍の001型航空母艦「遼寧」をパキスタンに売却する方向で折衝が進んでいる、という噂が浮上した。
現在、中国海軍が運用している空母は遼寧だけである。新たな001A型空母が完成しているが、まだ海上公試(最終実地テスト)中であり、艦名も未定だ。また、002型空母2隻と003型空母1隻を就役させる計画もあるが、まだ建造中である。このような状況のため、遼寧を近いうちにパキスタンに売却するとは考えられない。
しかし、パキスタンへの売却というアイデアは荒唐無稽というわけではない。かねてより空母を運用し、さらに2隻の空母を手にする予定のインド海軍を牽制するために、友好国パキスタンに空母「遼寧」を配備させる意義は大いにあるからだ。
もし、中国の息がかかったパキスタン海軍が、中国製艦載機が積載された中国製空母を運用するとなれば、中国が自ら空母をインド洋に繰り出してインド海軍を牽制する労力が大幅に軽減できることになる。したがって、ある時期(中国海軍にとって遼寧を手放しても良い段階)に到達した場合には、遼寧をパキスタンに移転することは中国にとっても願ったり叶ったりということになるのだ。
遼寧も001A型空母も訓練・開発研究用
中国海軍が運用している001型航空母艦「遼寧」は、中国海軍にとっては明らかに訓練空母的な位置づけであるといえる。2012年9月に就役して以来、それまで航空母艦の運用経験がなかった中国海軍は、遼寧を用いて操艦を含めた空母そのものの運用方法、空母艦載機の運用方法、そして空母艦隊の運用方法を学んでいると解釈できる。