アジアで桁外れにリッチな人が増えている。ベトナム・ホーチミンの夜景

 平成の次はどんな時代になるのだろう。ここではアジアをキーワードに、この問題を考えてみたい。まず、アジアにとって平成とはどんな時代だったのか考えてみよう。

 現在、日本にとって身近なアジア(西アジア、中央アジアを除く)には40億人が住んでいる。それは世界人口の53%、世界の半分以上の人々が私たちの周辺に住んでいる。

 アジアの国々を1人当たりGDPによって、「高位」(1万ドル以上)、「中上」(5000ドルから1万ドル)、「中下」(1000ドルから5000ドル)、「下位」(1000ドル以下)の4種に分類した。1989年(平成元年)と、直近のデータが得られる2017年の分布を見てみよう(下の図)。1989年の時点では下位に属する人々が圧倒的に多かった。その割合は当時のアジア人口の91%に達していた。

アジアの所得別人口分布(単位:億人、データ:世界銀行)

人間が生きていくためにはいくら必要か

 ここで「1人当たりGDP=1000ドル」が意味することについて少し説明したい。それを語るには穀物価格が重要になる。過去30年間、2008年に起きたリーマンショックに伴う価格高騰の一時期を除いて、穀物の価格は1トン200ドルから400ドル程度で推移してきた。