2010年12月24日、日本半導体業界に激震が走った。東芝が韓国のサムスン電子に先端システムLSIを生産委託すると発表したからだ。
日本経済新聞の記事によれば、東芝はリーマン・ショック以降、採算の悪化していたシステムLSI事業を以下のように整理するという。
まず、ソニーから購入した長崎工場は再びソニーに売却する。また、システムLSIの主力拠点であった大分工場はイメージセンサーの生産に衣替えする。さらに、最先端のシステムLSIは、サムスン電子および米グローバルファンドリーズに生産委託する。
その上で、サムスン電子に次いで世界シェア2位のNANDフラッシュメモリーに、経営資源を集中するとのことである。
なぜ、ライバルのサムスン電子なのか?
筆者はもちろん多くの関係者が驚いたのは、生産委託先が「なぜサムスン電子なのか?」ということであろう。何しろNANDフラッシュメモリーにおいては、サムスン電子は東芝の最大の競争相手なのだから。数人の東芝の技術者に聞いたところ、「自分も新聞で見て初めて知った」と驚きを隠せない様子だった
サムスン電子は、DRAMおよびNANDフラッシュメモリーともに世界シェア1位を誇っている。一方、ファンドリー(設計を行わず製造に特化した半導体メーカー)としては、2005年頃からビジネスに参入していたが、精彩を欠いていた。2009年の世界ファンドリーランキングを見ても、ベスト10に入るのがやっと、という状況である(下の表)。
(出所:米IC Insights, Inc )