スギ花粉米が発売されると反対運動が起きるかもしれない。一体誰が反対するのか?(写真はイメージ)

(有坪 民雄:農業経営者、ライター)

「スギ花粉米」の実用化に向けた研究が進んでいます。

 2017年10月、茨城県つくば市に本部がある農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)がスギ花粉米の研究を目的とした外部機関への提供を開始しました。提供されたのは東京慈恵医科大学と大阪はびきの医療センターです。現在、この2つの医療機関で臨床研究が進められています。

 スギ花粉米とは「スギ花粉ポリペプチド含有米」および「スギ花粉ペプチド含有米」の略称で、食べるとスギ花粉症の治療効果をもつコメのことです。すでに臨床研究に入っているため、実用化・販売可能となる日はそう遠くはありません。おそらくは5年後くらいではないかと思われます。

 スギ花粉症は日本人の5人に1人がかかっているとされています。毎年春になるとスギ花粉に反応してくしゃみや鼻水に悩まされている人にとって、スギ花粉米の実用化は大きな朗報と言えるでしょう。

スギ花粉米は遺伝子組み換え作物

 しかしスギ花粉米が発売されると、反対運動が起きるかもしれません。なぜなら、スギ花粉米は、遺伝子組み換え作物だからです(参考「コメを食べて花粉症を治す!『スギ花粉米』がもうすぐ実用化」現代ビジネス」)

 遺伝子組み換え作物のタネは、現在、一部の品種が日本でも販売することが可能になっています。けれども実際に販売されているものはありません。反遺伝子組み換え作物運動家の声が大きいからです。