具体的には、まず、日本の「働き方改革」と同様な、解雇しやすくする労働法改正である。フランスは労働組合が強く、極めて社会主義的な国であり、企業がいったん雇った労働者の首を切るのは容易ではない。そこで人員整理ができず、人件費負担が重くなって、フランス企業の国際競争力が低下する。「痛みを伴う」マクロン改革を進めれば、当然のことながら、ぬるま湯に浸かった労働者の反感を買う。

仏政府、燃料税引き上げ延期を発表へ 抗議デモ広がりを受け

フランス・パリ市内の視察中に、消防隊員と握手するエマニュエル・マクロン大統領(左、2018年12月2日撮影)。(c)Geoffroy VAN DER HASSELT / AFP〔AFPBB News

 さらには、法人税を現行の33.3%から段階的に25%まで下げようとしている。仏企業が国際競争に負けないためである。また、start-up、つまりベンチャーなどの起業を支援する諸政策を遂行している。

 以上のような規制緩和政策は、小泉内閣が声高に叫んだ構造改革と同様な政策だが、たとえば解雇が容易になれば労働市場は流動化するが、既得権益を死守しようとする労働者は反発する。いったん与えた権益を剥奪するのは、政治的に大きなリスクを伴う。

「公務員天国」

 フランスは「公務員天国」だ。日本人は「欧米」とひとまとめに考える癖があるが、アメリカとフランスは全く違う。フランスは、前述したように、社会主義的であり、極論すればアメリカよりも中国に近いのだ。

 私は、フランスの国会で仕事をしていたこともあって、国会議員のみならず、国会職員にも友人がいる。彼らの仕事ぶり、生活ぶりを見ていると、「フランスでのんびりと楽しく暮らすには、公務員になるにかぎる」といつも思っていた。

 給料は保障されているし、長いバカンスもある。さらには、様々な保障や特典もある。仕事も融通がきき、人員過剰なので1人、2人私用で欠けても問題は起こらない。私も、よく国会を仲間と抜け出して、近くのカフェーにお茶を飲みに行ったものである。

 また、国会の職員パスを見せれば、商品を割引して売ってくれる店も沢山ある。まさに公務員天国だ。しかも、そのような状態に対して民間から批判が出るわけではない。官尊民卑の国なので、下手にお上を批判するとどのような災いが起こるか分からないからだ。

 さすがに、少しずつだが役人批判は強まっているのだが、「官尊民卑」と言われる日本と比べても、まだまだフランスは役人天国である。