米アップルが、タブレット端末「アイパッド(iPad)」やスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」向けアプリの配信/販売サービス「アップストア(App Store)」で、定期刊行物などのサブスクリプション(定期購読)サービスを開始すると発表した。
アップストアでは先頃、米ニューズ・コーポレーションのアイパッド向け電子新聞「ザ・デイリー(The Daily)」のサブスクリプションサービスが始まった。
アップルはこれと同じ仕組みをほかの出版社にも用意するというのだが、これに伴って同社が15日に発表した新たな利用規約が波紋を広げている。
消費者は便利になったが・・・
新サービスは、毎週、毎月、毎年といった好みに応じた期間で購入手続きを済ませれば、定期的にデジタルコンテンツが配信されるというもの。ちょうど新聞をとったり、雑誌を年間購読したりするのと同じになる。
アップストアにはこれまでも雑誌アプリなどの定期刊行物はあったが、ユーザーは一部ごとに支払い手続きをしなければならなかった。今回のサービスで消費者は大変便利になったが、出版社は「市場独占につながる」と不安を隠さない。
アップルが出版社に対し設けた利用規約が次のようなものだからだ。
まず、出版社はこれまで同様に自社サイトなどを通じてコンテンツのサブスクリプションを販売でき、アップストアでは同じ内容のアプリを無償配布することが許される。この場合、アップルの決済システムを介さないため、同社への支払いは生じない。
ここまではよいのだが、出版社がアップストアと自社サイトの両方でサブスクリプションを販売したいと考える場合は厳しくなってくる。
アップストアで販売されるものについてはアップルが従来の課金方式と同様に収益の30%を徴収するのだが、ここでアップルは「アップストアにおけるコンテンツの価格は、出版社サイトで提供する価格と同じか、それよりも安くしなければならない」という規定を設けている。
また「アプリ内には、コンテンツ購入が可能な外部ウェブサイトなどへのリンクを設けてはならない」「この条件を満たしていないアプリは、6月30日までに変更する必要がある」とも言っている。