「メディア王」ルパート・マードック氏率いる米ニューズ・コーポレーションが2月2日、かねて報じられていた、アイパッド(iPad)向け電子新聞「ザ・デイリー(The Daily)」を米国で発刊した。

料金は1週間99セントと割安に

米ハッカー2人を逮捕、iPad所有者データ流出事件

初のタブレット端末専用の日刊紙は読者に受け入れられるか?〔AFPBB News

 ザ・デイリーはアイパッドのアプリという形で提供し、既に米アップルのアプリ配信サービス「アップストア」の米国版で配信を始めている。料金は1週間99セント、年間39.99ドルと、同社傘下の米ウォールストリート・ジャーナルに比べ割安に設定している。

 ザ・デイリーの特徴は、印刷版の発行も行わず、ウェブブラウザーで読めるインターネット版も用意しない、タブレット端末専用の日刊紙。

 動画、音声、写真を多用し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「フェイスブック(Facebook)」や、ミニブログの「ツイッター(Twitter)」などともリンクする、リッチメディアで双方向性を持った新聞を一から作ったとしている。

 広告収入が減り、新聞社が新たな収益源を模索している中、同社のこの新しい試みが消費者にどう受け入れられるのか注目が集まっている。ニューズのマードック会長兼CEO(最高経営責任者)は、「新しい時代には新しいジャーナリズムが求められる。タブレット時代に合ったニュースの伝え方がある」などとし、ザ・デイリーの新奇性を強調している。

アップルのサービスで初の試み

 このザ・デイリーにはもう1つ新しい試みがある。アップルのアップストアで初の自動更新型サブスクリプション(定期購読)サービスになるという点だ。アップストアにはこれまでも雑誌アプリなどの定期刊行物はあったが、読者は一部ごとに支払い手続きをしなければならなかった。

 これに対しザ・デイリーの料金はアップルのコンテンツ配信サービス「アイチューンズ(iTunes)」に登録されたクレジットカード番号に、週ごと、あるいは年ごとに課金される。これによりニューズは紙の新聞と同じような仕組みで収益を得られるというわけだ。