仏大統領、ナショナリズムの台頭に警鐘 トランプ型「自国第一」主義を批判

フランス・パリの凱旋(がいせん)門で開かれた第1次世界大戦終結100年記念式典の様子(2018年11月11日撮影)。(c)BENOIT TESSIER / POOL / AFP〔AFPBB News

 第1次世界大戦終結100年を迎えた11月11日、世界各地で追悼式典が行われた。

 激戦の地フランスでは、休戦協定が発効した11時に式典が始まり、60か国以上の国家首脳や国際機関幹部ら120人を超える世界の要人が、無名戦士墓のある凱旋門で戦没者を追悼。

 エマニュエル・マクロン仏大統領がホストを務め、フランス同様、連合国で参戦した米国の現首脳ドナルド・トランプ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も参席した。

 しかし、世界のトップが雨降るシャンゼリゼ通りまでバスで乗り合わせ、凱旋門へと並び歩く列に2人の姿はなかった。

 「世界協調」を示す演出に異を唱えるかのような超大国首脳のこうした「単独行動」は、世の現状を象徴。

 式典でマクロン大統領は「Le patriotisme est l’exact contraire du nationalisme. (パトリオティズムとナショナリズムは真逆)」と語り、自国第一主義を掲げるトランプ大統領や各国のポピュリストたちを牽制した。

 マクロン大統領は9日までの6日間、アルデンヌ、ソンム、マルヌなど特に犠牲者の多かった11県を訪れ「歴史」を再確認、式典後も「平和フォーラム」を主催、市民、企業、NGOなど社会の代表者とも、協調に基づく多国間主義を進めていく姿勢を見せている。

 式典には、連合国もう1つの主力で、100万人近い犠牲者を出した英国のテリーザ・メイ首相が出席していなかった。

 とは言っても、別に「Brexit」の影響、というわけではない。

 時を同じくしてロンドンでも、エリザベス女王やチャールズ皇太子参席のもと、ドイツからフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領も招き、厳かに式典が執り行われていたのである。