こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思ってしまうことが実に多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 そこで前回(「『ムダな仕事』にしがみつく人を戦力に変える方法」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54049)に引き続き、「働き方改革」のセオリーにありがちな落とし穴と、それに代わる速くラクに成功するコツについて解説していきます。

能力に見合った仕事を配分しても生産性が上がらない理由

 人は自分に向いている仕事や能力に見合った仕事をすれば生産は上がります。

 しかし、完璧な適材適所の配置や仕事のアサインができている組織はないでしょう。そのため残念ながら、生産性が他のメンバーより低く、周囲から「仕事のできないヤツ」と見られてしまっている人材はどの組織にもいるものです。

「仕事ができない人」がいるとチーム全体の足が引っ張られます。「できない人」の仕事を他の「できる人」が担当することになるので、不平等感が職場に溢れ、雰囲気やモチベーションにも悪影響が出てしまうのです。

 この状況を改善するにはどうするべきでしょか?

「指導しながら大事な仕事を任せるより、その人の能力に見合った仕事だけやってもらえれば、チーム全体の生産性が上がる」と考えてしまうのは、至極真っ当な発想に思えます。

 しかし、ここに罠があります。仕事ができないからといって、簡単すぎる仕事しか任せなくなると、組織全体が機能しなくなる恐れがあるのです。