日本人の「海外不動産投資ブーム」を牽引したのが東南アジアのマレーシアだ。
東日本大震災以降、マレーシア政府は早々に、マレーシアでのロングステイ、セカンドホーム「MM2H」やコンドミニアム(マンション)購入投資の多様な商品を並べ、ジャパンマネーの取り込みを行った。
特に 、マレーシアでは不動産取得において、最低購入価格制限以外に外資規制がほとんどなく、シンガポールなど他の東南アジア諸国と比較し、外国人に開放されていて、その結果、MM2Hのビザで永住する日本人も多い。
とりわけ人気だったのが、第2の都市、マレー半島最南端のジョホールバル(ジョホール州首都、最大都市)だった。
温暖な気候に整ったインフラ、英語圏で安価な物価、さらには親日国というのが売りで、投資や資産逃避に加え、子供の留学の教育移住先としても日本人の受け皿になった。
中でもジョホールバルは、シンガポールに隣接し、香港と隣り合わせの深圳を髣髴させる好立地。
この地に、マレーシアとシンガポールが共同出資する人口300万人を目指す巨大都市開発構想「イスカンダル経済特区」に伴うコンドミニアムなどの不動産開発ラッシュが起き、日本人の爆買いが注目された。
マレーシアの場合、「プレビルド」という、数年後に完成予定の物件を更地の状態のときに予約購入する不動産購入方式が主流。
しかし、供給過剰で大量に建設された結果、完成したものの住むこともままならない状態に陥っている。商業施設も住民が少なく、続々と撤退した。
「売れない、貸せない」状況が発生し、空き家だらけで、未来開発都市・ジョホールバルは「廃虚化したマンション都市」との汚名が着せられる不測の事態となった。
そんな辛酸を嘗めた日本人バイヤーが淘汰される一方で、地元不動産を爆買いし始めたのが、急速な経済成長で中間富裕層拡大の中国からの華人だった。