30年前は半数弱が「結婚=一人前」という捉え方をしていたのに対して、現在は20ポイント程度数値が減少し、過去最低に。「結婚=一人前」は、今ではかなり“少数派”の考え方になっているようです。とりわけ興味深いのは、このように回答しているのが結婚をしている当人たちであること。心情的には結婚に対してもう少し特別な意識があってもよさそうなものですが、そこにはどのような背景があるのでしょうか。
総務省統計局「国勢調査」によれば、50歳時点で未婚状態にある人の割合を示す「生涯未婚率」は、1985年時点で男性3.9%・女性4.3%。いわば当時は、「生活者のほとんどが結婚する社会」でした。その後、生涯未婚率は右肩上がりに伸び続けて、直近2015年では男性23.4%・女性14.1%に達しています。
同じく「国勢調査」で家族形態ごとの世帯数割合を見てみると、1985年時点で「夫婦と子供からなる世帯」は最多の40.0%、「夫婦のみ世帯」も19.2%を占めていました。が、直近2015年ではそれぞれ26.9%と9.4%に落ち込み、両者を足し上げても半数に届きません。そして、1985年時点で20.8%だった「単独世帯」が、2015年では34.6%と最多の家族形態になっています。
30年前にはなかば当たり前だった結婚は、時代の経過とともに必ずしも当たり前のものではなくなってきているようです。結婚している人もしていない人も身近にいるという状況が、生活者の結婚に対する価値観を軟化させ、「結婚=一人前」という意識を徐々に低減させ、それがまた生涯未婚率や単独世帯の増加につながっていく・・・。と、そんな生活者意識と実勢との循環が生じているようです。
家族調査ではさらに「人は子どもをもってはじめて一人前だ」という項目についても聞いています。なんとなく結果を想像していただけると思いますが、
●人は子どもをもってはじめて一人前だと思う
夫:1988年53.3%→2018年30.2%(過去最低)
妻:1988年53.9%→2018年20.8%(過去最低)
先ほどの数値の推移とほぼ同じような波形を描いて下降しています。
結婚と同様に子どもをもつことの意味合いも、30年間でだいぶ変化したことが見てとれるのではないでしょうか。