そして、南シナ海や東シナ海で戦力増強著しい中国海軍と対峙するためには海軍力に加えて地対艦ミサイルや多連装長距離ロケット砲などの地上軍も投入しなければならないと考え始めたアメリカ大平洋軍司令部は、陸上自衛隊が運用しているメイド・イン・ジャパンの地対艦ミサイルシステムに目を付けた。そこで、RIMPAC-2018に陸上自衛隊が地対艦ミサイルを持ち込み「敵艦撃沈演習」を実施するよう、日本側に提案した。

 陸上自衛隊の12式地対艦ミサイルの命中精度の高さに、米軍側は舌を巻いている。米海軍や米海兵隊の対中強硬派は、RIMPACに参加する中国海軍の目の前で、そうした日本の超高性能な地対艦ミサイルが仮想敵艦(日本にとっての仮想敵艦は中国軍艦である)を海底に叩き込む演習を実施するのはこのうえもなく「痛快」であり、「中国側も日本の地対艦ミサイルの威力を思い知るであろう」と、大いに期待していた。

 しかし、中国海軍がRIMPAC-2018から排除されたことで、その期待は泡と消えた。

 日本にとっても、メイド・イン・ジャパンの地対艦ミサイルの威力を直接中国側に見せつけられなかったことは残念至極であった。高精度の地対艦ミサイルシステムを九州から与那国島までずらりと並べることで、中国海軍が東シナ海から西太平洋へは自由に抜け出ることができなくなるという警告を突きつけることができる(拙著『トランプと自衛隊の対中軍事戦略』講談社+α新書、参照)。だが、残念ながらその機会が失われてしまったからである。