トランプの保護貿易主義の論理は、日本を含めたメキシコや中国などとの貿易不均衡を是正することである。国内産業擁護こそが「アメリカ・ファースト」だったのだ。

 しかし過去1年ほどで、トランプは保護主義政策を取っていても貿易不均衡は簡単に是正できないことを知る。保護貿易から自由貿易という流れは、十分に読めた流れだった。

 実は前大統領のバラク・オバマも同じだったからだ。オバマは2008年の大統領選中、北米自由貿易協定(NAFTA)やTPPのような多国間の協定には反対の立場だった。トランプと酷似している。

TPP反対は選挙用のスローガンだった

 2009年1月にオバマ政権が発足し、同年12月にはオバマはTPP推進派へとシフトする。それは保護貿易によって守れる産業分野が限られる事実を認識したからにほかならない。

 保護貿易によって関税が課され、輸入品の価格が上がって消費者や輸入業者に負担がかかる。中長期的にはマイナス面の方が大きいと判断したのだ。

 もう1つの理由がTPP反対は選挙用のスローガンだったということだ。

 2番目の理由と密接に結びついているが、農業州で勝つためには農業を守り、ラストベルト(中西部の工業州)で勝つために製造業を守る姿勢を見せることが必要だったわけである。

 オバマ政権とトランプ政権の共通点は、選挙に勝ってからほぼ1年後、「そろそろ自由貿易の方に移行する頃合い」という流れが確認できることである。

 米中貿易戦争への扉が開きつつある今、2年前とは逆に、TPP推進によって共和党有権者の票を得られれば態度を変えてくると思われる。