ティラーソン氏解任も「ロシアのせい?」 外務省報道官が皮肉

訪問先のチャドの首都ヌジャメナで演説するレックス・ティラーソン米国務長官。3月13日に国務長官を電撃解任された(2018年3月12日撮影)。(c)AFP PHOTO / POOL / JONATHAN ERNST〔AFPBB News

 ティラーソン国務長官が更迭された。そして、国家安全保障担当大統領補佐ハーバート・マクマスター陸軍中将も「トランプ政権内で“宙ぶらりん状態”が続くのではないのか」あるいは「やがてはティラーソン長官のように更迭されるのではないのか」といった微妙な立場におかれている。

 要するに、トランプ政権誕生後のわずか14カ月程度の間に、トランプ大統領の外交国防政策を支える3本柱のうち盤石なのは国防長官マティス海兵隊退役大将だけとなってしまった。

 昨年(2017年)末にホワイトハウスは「安全保障戦略」を公表した。また、ペンタゴンは2018年1月に「国防戦略概要」を、2月には「NPR(核戦略見直し)-2018」を公表している。これらの安全保障戦略、とりわけNPR-2018によって、外交国防の舵取りをする首脳人事が大幅にテコ入れされているのは避けられない流れといえる。

 なぜならば、NPR-2018によって明示されたトランプ大統領の核戦略は、これまで半世紀にわたって歴代アメリカ政権が維持し続けてきていた基本的方針を抜本的に(180度)転換するものであるからだ。

米政府の伝統的核戦略は「核戦力削減」

 アメリカ歴代政権の核戦略の基本方針は、共和党政権・民主党政権を問わず、「核戦力削減」方針であった。米ソ冷戦の先鋭化に伴い躍起となって核戦力を強化し続けたために「over-kill」状態になってしまった。それに加えて財政的にも逼迫してきたため、ニクソン大統領は核戦力を削減する方針を打ち出した。それ以降、歴代アメリカ政権は核戦力削減を核戦略の基本方針として踏襲し続けていた。