1月11日、米ニューズ・コーポレーション傘下のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)マイスペース(MySpace)が従業員の約半数を削減すると発表したが、今度は他社への売却の可能性についても検討していると報じられている。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、マイスペースのマイク・ジョーンズ最高経営責任者(CEO)は12日の社内全体会議で、ニューズが同事業の売却か、合併、分離を検討していると従業員に伝えたという。
これら3つの選択肢のうちジョーンズCEOが希望しているのは、事業分離。ただニューズはまだプロセスの初期段階にあり、同社はこれからパートナー企業との交渉に入るのだという。
マイスペースの衰退はフェイスブックと対照的
マイスペースは11日、1100人の全従業員のうち約500人を削減すると発表していた。かつて圧倒的な人気を誇っていた同サービスのユーザー数は1年で900万人減少し、5440万人にまで落ち込んでいる。
ニューズのチェイス・キャリー最高執行責任者(COO)は昨年11月のアナリスト向け電話会議で、「赤字は許容できるものでもなく、継続できるものでもない」と述べ、これまで行ってきた事業再生計画についても近いうちに評価すると述べていた。
今回の報道を受けて米ニューヨーク・タイムズは、ユーザー数が5億人を突破し、米ゴールドマン・サックスなどから約5億ドルの出資を受けたと伝えられた米フェイスブック(Facebook)とは対照的だと伝えている。
ニューズは2005年7月にマイスペースを5億8000万ドルで買収した。同社はこの買収直後にエンターテインメント、ニュース、スポーツ分野のオンライン事業「フォックス・インタラクティブ・メディア(FIM)」を立ち上げている。
マイスペースを同事業の最優先事業と位置付け、若者に焦点を絞ったネット事業を展開したのだ。この頃マイスペースのユーザー数は3000万人とまだ規模こそ小さかったが米国最大のSNSだった。ユーザー数はその後も伸び続け、2007年には1億1000万人に達した。
一方でフェイスブックがサービスを開始したのは2004年。当初は大学生や大学関係者向けのサービスだったが2006年に一般開放するとたちまちユーザー数が伸び、2008年に1億人、2009年に3億5000万人、2010年には5億人に達した。
「フェイスブックにも同様のことが起こり得る」
マイスペースの衰退は、移り気なユーザーに支えられるソーシャルメディアの基盤の弱さと、現状に甘んじて技術革新に取り組まなかった結果だとニューヨーク・タイムズの記事は指摘している。
もちろんマイスペースも経営陣を交代したり、リストラを行ったりと経営努力した。昨年秋にはサイトのデザインを刷新し、エンターテインメント性重視のサービスに切り替えた。しかし時既に遅し、マイスペースはもはやフェイスブックのライバルではなくなっていたという。
ただ記事は、「インターネットビジネスにはサイクルがあるものだ」とする業界関係者の意見も伝えている。マイスペースと同様のことがフェイスブックにも起こり得ると考える人は少なくないという。