私は滋賀県出身の東京大学生である。高校は兵庫にある灘高校に通っていた。
以前、出身高校の都道府県別の東大合格者数を調べたところ、滋賀県の低さが目立ち驚いた(参照=http://president.jp/articles/-/23326)。
原因として、自分のように県外の高校に行く学生が多い可能性と、東大以外への進学を志す可能性を指摘した。
後者について分析をするために、旧七帝大に範囲を広げ、進学率を調べてみた。この記事で論じるデータは、都道府県の18歳人口で、都道府県内の高校から旧七帝大に合格した人数を割った値である(図1)。
旧七帝大は優遇されている。平成28年(2016)度の運営費交付金で見ると、86大学に対する交付金全体の33.7%が旧七帝大に配分されている。国が集中的に投資していることが分かる。
旧七帝大は研究を引っ張ってきた。物理学賞、化学賞、生理学・医学賞のノーベル賞受賞者は日本に20人いるが、学部・博士課程のいずれも旧七帝大でないのは、東京工業大学で学部と大学院を卒業した白川英樹教授、神戸大学卒業後に大阪市立大学の大学院を卒業した山中伸弥教授の2人だけである。
そもそも、なぜ「帝国」大学なのか。帝国大学令の第1条に記された目的をみれば分かる。
“帝国大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ及其蘊奥ヲ攷究スルヲ以テ目的トス”
つまり、帝国の要請に従って、研究および教育を行うのが帝国大学なのである。第2次世界大戦の時において、この傾向は顕著で、東大には第二工学部が作られて軍事技術の開発が行われた。