年末年始、日本各地は大雪に見舞われた。英国や米国も強烈な寒波続きで、温暖化にばかり気を取られ、寒冷対策を怠っていたわけではないだろうが、何日も帰路に就けない人々で空港はごった返していた。
アイスランドの火山噴火に年末年始の大雪、大荒れの欧州
自家用車、レンタカー、バス、鉄道と、航空機以外にも移動手段が多々ある現代社会。それぞれ一長一短だから、こんな時は使えそうなものを求めて右往左往することになる。
まさにそんな状況下で、ニューヨークから大雪のシカゴへと手を替え品を替え向かおうとするドタバタ劇を描いたのが『大災難P.T.A.』(1987)だ。
VIPでもないくせに、欲かいて分刻みで予定を組んでしまう私のような旅行者にとっては、決して他人事ではない。とは言っても、そんなワザが利くのも交通網の選択肢があまたある日本や英米の都市部だからである。
昨年4月、アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が爆発した際、ヨーロッパ中の空路が麻痺状態に陥り、経済への影響が懸念される深刻な事態となったことは記憶に新しい。
火山灰の一吹きでたちまち機能不全。人間の創造物など大自然の前ではひとたまりもないことを改めて実感させられたものだった。
このアイスランドという国、北極圏にあり、名前通り中央に氷河もある島なのだが、実はそれほど極寒の地というわけではない。
「オーロラベルト」と呼ばれる地域に属し、オーロラ目当ての観光客を呼び込んでいるのだが、カナダやノルウェーなどの観測ポイントと違って、寒さはぐっと控え目で、気軽にオーロラを楽しめる場所なのだ。
せいぜい零下数度程度にしかならないところでゆっくりと観測できるので、私のような根性なしにはありがたい。
というのも、活動が活発な火山島であることが最大の要因。「ブルーラグーン」なる巨大温泉も多くの観光客を惹きつけているし、地熱発電が全発電量の2割を占め現実的なエネルギー源でもある。