ロシアにとって、2011年は節目の年である。

 ソ連邦を解体させ、民主主義の旗を掲げたロシアは20歳になった。日本で言えば「大人」の仲間入りをしたのである。しかし、中身はまだまだ大人とは言えないようだ。

 2011年の議員選挙と2012年の大統領選挙を控え、「二頭政権」の二頭の足並みがまた乱れ始めている。

 争点は、ロシアの近代化の範囲である。メドベージェフ大統領は、近代化の範囲は経済だけではなく、政治の民主化も必要だと考えている。それに対してプーチン首相とその側近は、政治改革を行うタイミングではないので、経済改革を重点的に行うべきだと主張している。過激派が台頭している今、リベラル的な改革は時期尚早だという。

 プーチンの宿敵、ミハイル・ホドルコフスキーを巡る発言にも2人の対立が見て取れる。

 ホドルコフスキーは反プーチンの立ち場を明確にしている実業家である。石油会社の社長を務めていたが、脱税などの容疑で逮捕され、2005年に懲役8年の実刑を言い渡された。

 2010年12月30日、モスクワ裁判所は服役中のホドルコフスキーに対して、2017年までの刑期延長を言い渡した。

 判決が言い渡される2週間前、プーチン首相はテレビ番組に出演してホドルコフスキーを「泥棒」と呼び、「ずっと刑務所にいるべき人物だ」と憤った。

 それを受けて、メドベージェフ大統領は、「国家官僚は、受刑者が誰であっても裁判の手続きに干渉すべきではない」と述べ、間接的にプーチンの暴言をたしなめた。

 その後、2人は2010年の政府の政策が高い成果を挙げたことを一緒にアピールし、二頭政権は仲たがいしていないという印象を与えるのに懸命だった。

選挙に突入で国家予算がますます赤字に

 2012年の大統領選挙に誰が出馬するかは、2011年のうちに明らかになるはずである。メドベージェフとプーチンの2人が出馬してぶつからないように、前もって話し合いが行われるだろうと言われている。だが、実際にどうなるのかは、まだ分からない。

 問題は経済と社会の動きである。うまくいけば、2人の方向性の違いは解消されるだろう。しかしロシアの経済と社会には不安要因がたくさんある。

 大きくまとめると、経済、社会の安定を脅かしているのは、(1)国家支出の増大、(2)資本の外国への流出、(3)税金の上昇である。

 3つの問題を解決するカギは1つしかない。石油の価格である。1バレル当たり100ドル以上であれば、産出国のロシアはやっていける。