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 価値観や働き方の多様性が重視されるようになった今、「副業」がクローズアップされている。『大企業における副業している・してみたい社員は約6割』と高い関心が集まっているという調査結果も出ており、自己の成長を実感している社員もいることが特徴だ。一方、企業が副業を認めるためには超えなければならないハードルがある。大企業の社員・人事担当者に広がる副業志向について、意識調査の結果をリポートする。

副業している・してみたい社員は約6割

 NPO法人二枚目の名刺は、従業員1000名以上の国内の大企業の正社員1236人に対し 「平成29年 大企業勤務者の副業に関する意識調査」を行った。それによると、現在副業をしている社員は16.7%、1年以内に副業に取り組んでみたい社員は41.7%と、合計約6割に上り、社員側の副業志向の高まりがうかがえる。

 一方、どの程度の企業が社員の副業を認めているのか、同法人が国内の大企業(従業員1000名以上)に勤務する人事系正社員368名に対し行った「平成29年 大企業人事の副業・兼業に関する意識調査」によると、副業を認めている企業は34.8%で、3社に1社程度という結果となった。このうち大半の企業は副業実施に一定の基準を設け、届け出や許可を必要としている。

 企業が社員に認めている副業の内容は、1位:講演(61.1%)、2位:執筆(56.3%)、3位:物品販売(29.6%)となっている。NPOなどの非営利活動に関しては、ボランティアやプロボノ(職業上のスキル・経験などを活かしたボランティア)だけでなく、代表や役員等としての支援も容認するケースもある。

副業容認で企業側にもメリット 

 社員の成長機会や企業の魅力増に 副業を始めた社員の中には、社外で新たな経験を得て本業への好影響を実感している人もいる。「自分のことを客観的に見ることができるようになった」(24.7%)、「視野が広がり大局観をもてるようになった」(21.9%)、「自分のスキルの社会的価値が分かった」(20.1%)といった前向きな回答が寄せられた。

 一方、企業にとっての副業容認のメリットにも注目したい。副業が社員の自主的な成長を促す機会となりうることはもちろんだが、副業容認のスタンスが企業の魅力を増すことにつながる。調査では大企業の社員の56.5%が「副業禁止の会社に魅力を感じない」としている。人材獲得競争が深刻な今、副業容認は求職者への訴求ポイントの一つとなりうるだろう。なお、大企業の人事担当者は66.0%が副業解禁に向けて会社規則の見直しが必要だと回答しており、意識の高まりがうかがえる。

副業解禁したい企業は、社内の温度差解消がポイント

 副業への注目が集まっているとはいえ、現状では大企業の3社に2社は副業を禁止している。では今後副業を解禁したい企業にとって、どんなハードルを超える必要があるのだろうか。人事担当者が会社規則を整理するにあたり、障壁になると考えているものは、1位:経営陣の理解(66.6%)、2位:業務部門の理解(37.2% )、 3位:人事部内の関心の低さ(32.9% )となっており、社内における温度差をいかに乗り越えるかが大きな課題だ。

 これまで副業を禁止としていた企業も、社員の成長機会や企業の魅力増につながるという視点に立てば、副業との向き合い方を再検討することは有意義ではないだろうか。制度設計やガイドラインの作成等、人事担当者にかかる負担は少なくないが、長期的な視点に立てば社員や組織の可能性を広げる貴重な機会になりうるだろう。

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