外部へのマーケティング手段や消費者との直接的なコミュニケーション手段として、企業がツイッター(Twitter)などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使うケースが増えている。
今回は、プライベートなSNSを社内で活用する意味について解説したい。
数カ月前、都内で盛大に行われたセールスフォース・ドットコムのイベントの目玉は、プライベートSNSの「チャター(Chatter)」だった。同社は、自社の活用事例を掲げて、チャターを至るところで紹介している。日本でも発表後3カ月で2万社に導入されたという。
ツイッターユーザーの方だと理解が早いと思うが、プライベートSNSというのは、簡単に言うと、社内、グループ内、チーム内の社員たちが「つぶやく」ことによって成り立つ情報共有の形態である。
営業活動は止まることなく動いている
筆者は長らく営業支援のコンサルティングに携わってきたが、営業部隊の情報共有に役立つものとして「SFA(Sales Force Automation)」や「CRM(Customer Relationship Management)」といった営業支援ツールがある。実はこれらは、社内のコミュニケーション手段として見ると、長い間大きな進化がなかった。
顧客に対する営業活動の進捗状況や、案件のステイタス、売り上げ着地見込みなどについて、関係者が同じ情報を共有し、皆でアクションを考える。基本的にその形はずっと変わっていない(それができるだけでも立派なことなのだが・・・)。
決まった入力ルールのもとで、活動や案件などのデータを誰かが入れて、それを役割に応じた粗さで整理して確認・分析をする。さらに提案などで必要なネタやツールは、製品別・顧客タイプ別などの切り口でまとめて見つけやすくする努力がされている。
つまり、現在のネットワーク経由の情報共有の主流は、キレイに整理整頓されたディレクトリの中に収まっているデータを探しにいくというものだ。そのデータは定期的に更新されるとはいえ、基本的には「止まった」情報である。体系的にはなっているが、誰かが手を加えない限り、増えていくことはない。
リアルの世界で言うと、これは「図書館(ライブラリ)」なのである。業務を行っている時、よほど時間がある時でなければ、いちいち図書館に通うことはないだろう。