ところが、中国代表団は海上自衛隊から招待を受けたにもかかわらずレセプションを欠席した。他国のレセプションへ参加しなかったのは、リムパック史上、中国海軍が初めてであった。

 それだけではない。中国艦上でのレセプションに、中国海軍は自衛隊代表を招待しようとしなかった。その情報をキャッチしたアメリカ海軍が中国側に警告を発して、結局、自衛隊が招待されることになったが、このような出来事も初めてであり、主催者である太平洋艦隊、そしてアメリカ海軍は再び怒り心頭に達していた。

 そして、対中強硬派の人々は、「二度も続けて問題を引き起こした中国海軍は、二度と招待されないだろう」と考えた(本コラム2016年8月4日参照)。

結局、トランプも招待した

 リムパック2014でもリムパック2016でも問題を引き起こした中国海軍であったが、そのようなトラブルに比べるとはるかに大きい問題を、2014年から2016年の期間に南シナ海で引き起こしていた。すなわち、本コラムでも繰り返して取り上げている南沙諸島での人工島建設である。

 中国のリムパックへの招待に反対する対中強硬派の米海軍関係者たちによれば、「そもそも、中国をリムパックに参加させているのは、多国籍訓練という場を通して、中国海軍との相互理解を深め、中国海軍に勝手な動きをさせない、という目的のためであった。しかし、その間にも、中国は南沙諸島に7つもの人工島を建設したり、それらの人工島や西沙諸島の軍事基地化を進めたりしている。なんのために参加させているのだ」と憤っていた。

 ただし、中国に対してオバマ政権とは一線を画する態度で接することを標榜しているトランプ政権が誕生したため、「リムパック2018への中国の招待は、まさかあるまい」と対中強硬派の人々は期待した。

 太平洋艦隊側は、陸上自衛隊に日本が誇る地対艦ミサイル部隊をリムパック2018に参加するよう要請した。すなわち、日本の優秀な地対艦ミサイルによって日本沿岸域や南シナ海沿岸域に接近する中国艦艇を打ち払うデモンストレーションを世界中の海軍が注目するリムパックで行おうというわけだ。これは「戦力強化が著しい中国海洋戦力から東シナ海や南シナ海を防衛するには、海軍艦艇や各種航空機に加えて、島嶼線に陣取る地対艦ミサイル戦力を活用すべきである」というアメリカ軍の新ドクトリンに則る動きである。(本コラム2014年5月8日、2014年11月13日など参照)。このような流れは、対中強硬派の人々の「まさか中国がリムパック2018に招待されることはあるまい」といった期待を後押しした。

 しかしながら、トランプ政権はリムパック2018へ中国を招待し、習近平国家主席がトランプ大統領に、リムパックへ参加する旨回答したのである。

 中国海軍艦艇が東シナ海沿岸域などに接近するのを阻む抑止戦力としての自衛隊地対艦ミサイル部隊と、中国艦隊が、相互理解と協働関係を促進するためのリムパック2018に肩を並べて参加するのであるから、いよいよリムパックもブラックユーモアの体をなしてきた。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]