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日本政府、駐韓大使らの一時帰国発表 釜山の少女像設置を受け

慰安婦を象徴する少女像(右端)が設置された韓国・釜山の日本領事館前で、警備に当たる警官ら(2017年1月2日撮影)。(c)AFP/YONHAP〔AFPBB News

(文:フォーサイト編集部)

 韓国・釜山市の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことへの対抗措置として、今年1月から一時帰国していた長嶺安政駐韓大使が4月4日夜、帰任した。

 岸田文雄外相は3日、帰任の理由について「5月9日の大統領選挙を控え、次期政権誕生に備えた情報収集」と「北朝鮮問題に対処するうえでの日韓の緊密な情報交換と連携の必要性」を挙げ、菅義偉官房長官は「諸般の事情を総合的に検討した結果であり、邦人保護に万全を期すとの観点も踏まえたもの」と説明している。

 一時帰国から3カ月、そもそもなぜここまで長引いたのか。そしてなぜこのタイミングだったのか。朝鮮半島政治が専門の小此木政夫・慶應義塾大学名誉教授に聞いた。

「今しかなかった」

 大使を帰任させた当初は、ここまで長期化させるつもりではなかったのではないか。1~2週間の「一時帰国」で韓国側が折れ、釜山の少女像は撤去されるだろうと、政府は読んでいたはずだ。

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