米大統領、アサド政権は「多くの線越えた」 攻撃死者86人に

米ホワイトハウスでヨルダンのアブドラ・イブン・フセイン国王(奥)との共同記者会見に臨むドナルド・トランプ大統領(2017年4月5日撮影)〔AFPBB News

1 いまだ鳴りやまないトランプ大統領への誹謗・中傷

 米国のマスコミの大半を敵に回したことにより、米国のマスコミの反乱は鎮まることなく、ますます声高にトランプ政権の粗探しに邁進しているようだ。

 日本のマスコミも米国の大手マスコミの意見に同調して、トランプ大統領の粗探しと非難に明け暮れているように見受けられる。しかし、その変化は、トランプ大統領一人による変化ではなく、世界を巻き込む大きな変革の潮流の変化ととらえるべきであろう。

 それは端的に言うと、グローバリズムと言われたものがその真の姿を隠しながら、一部の者だけが勝者となる危険性をはらみ、国家というものが衰弱し、国民の多くが貧乏になってきていることに気づき始めたということであろう。

 中国がグローバリズムの旗手だと言われても、大きな違和感がある。英国のEU離脱がまるでアクシデントのように言われ、EUにとどまることが正義のように報道されているが、EUこそ国家としての経済施策を奪い去り、国家を疲弊させた元凶でもあることは全く報道されない。

 また、EUはNATO(北大西洋条約機構)あってこその経済同盟であり、トランプ大統領が指摘しているように、核兵器を除き全くヨーロッパを席巻する軍事力を失ったロシアを敵と言わざるを得ないNATOは時代遅れである。

 それでも米国にとってNATOはかけがえのないヨーロッパにおける米国の覇権の象徴であり、ヨーロッパの国々の軍事予算の倍増により、NATO自らの軍事力によってNATOを維持していくことになるだろう。

 トランプ大統領の目指すものは、グローバリズムの対極にある国家の再生である。そもそも国家とは何だったのかの大きな問いかけである。

 国家とは「国民を豊かにし、国民を守り、国家に繁栄をもたらすものである」という国家としての原点に立ち返ろうとする革命であると言っても過言ではないであろう。決して軽薄な「孤立主義」や「保護主義」という言葉で表されるものとは異なっていることに気づくべきである。

2 大戦略を考えているトランプ大統領

 就任以来、次々に出される大統領令の適否や、政権とロシアの関係ばかりが議論されているが、大切なことが見過ごされている。

 それは、ランドパワーをシーパワーが押さえ込むユーラシア大陸の海洋に接するリムランドの中核となる英国、イスラエル、日本との関係を早期に再確認し、多少の困難はあってもロシアとの関係を改善することでしっかりとした米国を中心とした覇権の態勢を再構築している点にある。

 さらには、軍事政権であるタイをバラク・オバマ前大統領は非難し、関係を絶ったことで中国に追いやった大失敗から、タイとの関係改善へと方向を変換していることは、実に戦略的である。エジプトとの関係改善も進みつつある。残るはインドとの関係の構築だ。